食品メーカーに勤務して丸九年のA子さん。受注係長として三年が経ち、仕事にも充実感を覚えています。しかし、秋が近づくと、憂鬱な気分に襲われていました。

目玉商品の注文が殺到する秋口は、受注責任者として三ヶ月間、後輩をはじめ大勢の社員を指揮していかなくてはなりません。動きが鈍く、勘違いも多く、ミスを報告しないメンバーに、つい言葉を荒げてしまうのでした。

しだいに自分が嫌になり、体調を崩すというパターンを、毎年繰り返してきたのです。彼女は思い切って、ビジネスでは大先輩の父親に相談しました。

すると次の言葉が返ってきました。「自分だけの責任を果たすことに熱中すると、それは美しく見えるが利己主義だ。お客様の役に立ち、社会に貢献してこその責任だろう?お客様の立場になれば、同僚には思いやり、仕事には真心が込められる。改善や成功への知恵は、そういう時にしか出ないものだよ」

目から鱗が落ちたA子さん。受注した商品をおいしく食べてくださるお客様のイメージを脳裏に焼き付け、今日も張り切って繁忙期の仕事をこなしています。

 

 『職場の教養』 より