S氏は毎朝、家庭ごみを集積所まで持って行きます。氏の住んでいる地域は、月曜日と木曜日が可燃物の日となっています。

ごみ集積所が氏の家から近いため、ごみを出すついでに周辺の清掃も率先して行い、早朝の運動として習慣化しています。

ある木曜日の朝の出勤時、集積所の前で目を奪われました。カラスが群がり、ネットの隙間からくちばしを入れて、生ごみを食い散らかしているのです。

道行く人は眉をひそめ、鼻を押さえながら急ぎ足で通り過ぎて行きます。S氏はいったん家に戻り、散乱物の後始末を始めました。その時、「不精をするとかえって手間がかかる」と言っていた母親の言葉を思い出したのです。

いつもは野菜や魚などの残りものを新聞紙にくるんで出すのを、その日は「まあいいか」と省いてしまったのです。S氏はカラスを恨めしく思った自分を反省し、逆に「不精はいけない」と教えてくれたことに感謝したのでした。

面倒なことでも手間を惜しまず、丁寧な仕事を心がけたいものです。

 

『職場の教養』より