出張に出たM氏は、ホテルを出発した後、携帯電話を忘れたことに気づきました。次の移動が迫っていたため、慌ててホテルに連絡して事情を説明したのです。

すると「当方は行き届かず、申し訳ありません。今からお届けにあがります。ご乗車の時刻は何分でしょう」と躊躇のない答えが返ってきました。

M氏はこの反応に痛く感動しました。『自分ならどうしただろうか』と考えると、何のためらいもなく同じような対応ができていたかどうか、疑問に思ったからです。

「普段顧客第一などと言っていても、実際に何かをしたことがあっただろうか」と、行動が伴っていない日常の自分を振り返ることができました。

結局、M氏は列車を一本遅らせはしたものの、非常に清々しい思いで次の仕事に臨むことになりました。「これから会うお客様に、自分も誠心誠意対応させていただこう」と静かに誓ったのです。

必要なことを、ためらわずに実行に移す判断力と柔軟性を養うためにも、相手の幸せを願う仕事を心がけていきたいものです。

 

『職場の教養』より