建築現場で働いて三年目のTさんは、「高くて危険な所が得意」と公言していました。ベテランでも緊張する現場を、Tさんはスイスイとこなしてしまうのです。ある日、夕闇がせまり一日の作業を終わろうという時、Tさんは足場を移動する際に足を滑らせ、地面に落下してしまいました。肩を強打してしまい、低いうめき声を上げています。

顔面蒼白で横たわるTさん。皆が駆け寄り助け起こしましたが、腰が抜けたのか立つことができません。その彼を棟梁は厳しい顔で見下ろしています。

「なにが『高くて危険な所が得意』だ。俺たちは恐くて緊張するんじゃあない。ある程度の緊張が、注意力を増すことを知っているんだよ。俺たち現場作業員は、臆病なくらいがちょうどいいんだ」と怒鳴りつけました。

ビジネスの場において、石橋を叩いて渡る慎重さはプラスに作用することが多いはずです。逆に慎重さを欠いた行動は、思いもよらぬミスを呼びます。

「軽率な思慮・行動は仕事の敵」と強く肝に銘じましょう。

 

『職場の教養』より