M工務店では毎年春先に、ツバメがベランダの下に巣を作ります。昔から「繁栄している家にはツバメが巣を作る」と言われているため、M社長は満足気です。

今年の春もツバメが巣を作りにやってきました。子どもが卵から孵ると、親ツバメもけたたましく鳴きますが、その声も心地よく聞こえていました。

ところが、昨年までは側壁は清潔だったのですが、今年のツバメは糞で壁をことごとく汚していきます。

ツバメがすべて巣立ったとき、壁の清掃に追われたM社長。『いつもギャーギャー鳴いて騒がしい上に、こんなに手間がかかるなら、来年からは巣が作れないようにしてしまおうか』と思ってしまいました。

これまでは、ツバメが巣を作りに来ると、『今年も幸せを運んでくれてありがとう』と迎え入れていた気持ちが、コロッと変わってしまったのです。

清掃を終えてふと、今まで運び続けてくれた幸福に対する感謝の心を忘れてしまった自分に気がつき、「何と情けない・・」と自嘲気味に笑ったM社長でした。

 

『職場の教養』より