Kさんの勤める服飾工場では、ここ数年受注量が減っています。仲間同士でも「操業短縮や工場閉鎖があるのでは」という話でもちきりでした。Kさんを含め高齢者が多い為、現在の職を離れれば、再雇用の望みはほとんどありません。

ある日の朝礼後、社長が全従業員に会議室に集まるよう言いました。いよいよ来たかと覚悟したKさんでしたが、社長の言葉は思わぬものでした。

社長は工場を再生するためには「従業員に辞めてもらうことでは達成できない」と言葉を強め、いわゆるリストラをするつもりはないと言うのです。

「機械だけを残しても景気が回復した時に機械を動かせる人員がすぐに集まるとは思えない。従業員は絶対に辞めさせない」と強調する社長。事業回復の準備期間として、逆に仲間を増やしたいとの見解でした。

結果、従業員の給料は減りましたが、腕の良い若い職人が二人入りました。「リストラクチャリング」の本来の意味は、皆で再構築することだと知ったKさん。『自分たちの工場は大丈夫だ』と確信して、今日も仕事に励んでいます。

 

『職場の教養』より